テニスのメンタルを強化するには

テニスで大切なのは技術はもちろんですが、「心技体」と呼ばれる「心(メンタル)」、「技術」「体(体力なども含む)」
この3つが必要となります。

技術や体力は数をこなしトレーニングすることで身についていきますが
メンタルに関することはふんわりとしていてなかなか取得を実感できずにいることも多いです。

テニスのゲームでメンタルの強さを求められる際、どのようにその力を身につけていけばよいのでしょうか。

試合で緊張しないために

練習ではとても素晴らしいショットを打つことができるのに、
試合になると別人のように打てなくなってしまうことがあります。
そのような経験をされた方も多いのではないでしょうか。

これは、実は「練習中の考え方を変える」ことで克服することができます。

例えば練習中に素晴らしいサーブを打っている人が10球中1球しか入らなかったとします。

それでも懸命に速いサーブを打とうと練習し続け、結果、実際の試合ではダブルフォルトを繰り返したり
練習では打ったこともないような緩いサーブを打つことで負けてしまったり‥


大切なのは『練習中にも試合と同じような緊張感を持つ』ということです。

テニスの練習の中で、練習メニューに少し厳しい条件をつけるなど試合と同じような緊張感を作ることが効果的です。
(例えば0-30で負けている場面を作り出し、そこからスタートする、など)

普段から自分に甘い人は大事な場面で力を出すことはできません。
少しだけ自分に負荷をかけることでいざというときにも物怖じしないプレーができるようメンタルを鍛えていきましょう。

テニスの試合前にしておきたい5つのこと

テニスのゲームに勝つために必要なことは3つあります。
それは先ほど説明した「技術」と「体力」と「精神力」です。

「1つめの技術」はテニススクールや部活、サークルの練習などで身につけることができ、
「2つ目の体力」はトレーニングやジムに通うことで向上させることができます。

それでは3つ目のもっとも難しいとされている「精神力のトレーニング」はどのようなことをおこなったらいいのでしょうか。

精神力を強くするために知っておきたいことを考えてみましょう。

①自分が勝っているイメージをつける

『試合の前日に緊張のあまりなかなか眠れない』という話をよく耳にします。

こんな時に是非トライしてもらいたいのが“自分が勝っているところをイメージする”ということです。
頭の中で自分の試合を直前にイメージでしてみてください。

相手がどんなタイプの人かも分からないのに想像するのは困難かと思われますが、ストロークが上手い選手だったり、ボレーヤーだったり、
トップスピンのボールを打ってきたり・・様々なタイプをイメージして自由にシュミレーションしてみてください。
想像なので自分の好きなように考えていいのです。

ここで大切なのはどのタイプのプレーヤーとゲームをしていても「自分が勝っているところ」をイメージすることです。

不安が高まるとネガティブなイメージを思い描いてしまうことが多いのです。
ですが、後ろ向きなことばかり考えていては勝てるはずがありません。

自分で自由にイメージし、考えることで実際の試合でも成功している自分を発揮できるようになるのです。

➁試合会場のことをよく知っておく

テニスはコートの環境に慣れるまでに時間のかかるスポーツです。

コートのサイズはもちろんどこも同じなのですが、バックラインからフェンスまでの距離や隣のコートとの間隔、
周りの景色など様々な情報からのボールに対する距離感のとらえ方が違ってきます。

大切な試合を控えている選手や高校・大学の大会前などの選手たちが、実際に本番の試合会場を事前に借りて練習するということも少なくありません。

コートの場所が遠方でなかなか行けない場合は当日の朝、少し早めに会場入りして場所の雰囲気を掴んでおくことが大切です。

初めて通った道を歩くのと、1度通ったことがある道を歩くのとで感覚が全く違うように感じられるのも、これと同じことなのです。

どんなことでも事前の心構えが大切、というわけです。

➂緊張を解くためのルーティーンを知っておく

生徒さんから相談される悩みで多いものに「試合になるとサーブが入らなくて困っている」というものがあります。

サーブ以外の他のショットでも、このように同じような悩みを持つ人は「練習と違う動作を行っているから」です。

例えばゆっくりなセカンドサーブのを受ける攻めのポジションに移動していたのに、
相手がいることでついついせかされたように思えて慌てて返球してしまうように

いつもは自分のペースで行っていたものが緊張のあまり落ち着くことができなくなるため心が乱されておかしな球を打ってしまうことがあります。

ここでトライしていただきたいのが『練習の時、自分がどんな動作をしているか思い出すこと』です。

そのためにもまずは普段の自分の動作を覚えておく必要があります。

サービスを打つときは最初にベースラインに足の先を合わせている、とか
ボールはトスアップの前に2回バウンドさせてリズムをとっている・・など
人によって色々な順序ややり方があります。

その動作を意識して自分にクセづけておくことで、ゲームの時でも自分のリズムを保つことができるようになります。

この方法はテニスだけでなくいろいろな場面で使うことができるので、日常生活やビジネスの場でも自分の行動を分析してクセづけておく訓練をしてみましょう。

④ミスをしたときの対処法を知っておく

テニスの試合で最も多い失点は相手のエースよりも自分のミスが原因です。

同じポイントを失うにしても、相手からのエースで取られることより自分のミスでポイントを失うほうが精神的ダメージを受けやすいのです。

ミスをしたとき「次は同じようなミスをしないように」と心で強く思うほど体が緊張し同じようなミスを繰り返してしまいます。

このような状態から抜け出すためにしてもらいたいのが「ほかのことに意識を集中させる」ことです。

例えばボールをよく見てみよう、とかガットにボールが当たる音を聞いてみるなど、
ボールを打つこと以外のことに意識を集中させることでこの緊張のスパイラルから脱することができます。

失敗してはいけないという意識は逆に体の緊張を生み出してしまいます。

ミスをしたら考える視点を切り替えることで意識が体の動きを妨害することを防いでくれるのです。

➄相手をよく観察する

テニスは体力的にも精神的にもハードなスポーツです。

特にシングルスは1人で戦わなければならないという孤独なもので、スタミナとメンタルの強さを兼ね揃えていないとゲームで勝つことができません。

このような過酷な場面では「視点を自分から相に向ける」ということに意識を置いてみましょう。

例えば相手の表情や呼吸、足の動きを観察してみましょう。

相手の気持ちに焦点を合わせることで相手も自分と同じように苦しそうにしていることに気づきます。
悩んでいる様子が分かることもあります。

競っている試合は特に、相手も同じように精神的にも体力的にも追いつめられています。

自分だけが苦しいということは決してありません。

自分が苦しいときは気持ちを切り替えて相手や周りを観察することで冷静に自分を客観視できるのです。

試合後にやってほしい3つのこと

①負けた試合に落ち込まない

どんなに頑張ってもすべての試合に勝つことができるのはたった1人だけです。

試合で負けた後はいろいろな気持ちが込み上げてきます。
ただ、負けた試合の結果はいくら悔やんでも仕方ありません。

感情的に落ち込むよりも気分を切り替えたほうがいいのです。

試合に負けてしまったときは、「悔しいという気持ちから1度離れて、自分が試合で全力を出し切ったかどうか」を見つめなおしてみましょう。

試合の勝ち負けは、相手との勝ち負けではありません。

自分から逃げないで最後まで言い訳をせず、全力を出し切れるからの勝負なのです。

どんなに努力しても望む結果を得ることができないことはテニス以外の場面でもたくさんあります。
結果だけに執着してしまえば負けは負けなのですが、そのときに全力で勝負していたかどうかで結果は悪くとも自分の成長につながっていくのです。

➁負けた言い訳をしない

試合で負けてしまった生徒さんやジュニアの子どもに「どうして負けてしまったのか」と尋ねると様々な理由を話してくれます。

実はその答えでその生徒さんがこれから上達してくのか伸び悩んでいくのかが分かります。

なかなか上達に伸び悩む人は、負けたときに

「コートのイレギュラーが多かった」
「相手のミスジャッジがあった」

など理由を自分以外のものの責任にします。

もちろん相手のミスジャッジでポイントを失ったことが事実でも数えるほどのものでもなく、
多くのポイントはそれとは関係のないところで失った失点が原因なのです。

一方、言い訳をしないで負けた原因を自分なりに見つめられる人は自分の責任をきちんと把握しているので上達していきます。

試合では自分の弱点を攻められるので試合結果を柔軟に受け入れ、自分の課題を見つけていきましょう。

失敗しても周りからのアドバイスを素直に聞ける人はどんなことでも成長が早いです。
失敗したときに言い訳をせず自分を見つめることで、その失敗を成長に生かすことができるのです。

➂約束ごとを決める

テニスはシングルスだけではなくダブルスもあります。

ダブルスの試合で負けてしまったとき是非やってほしいのが『パートナーとの約束』です。

試合中の先述のこともそうですが「最後まであきらめないで頑張ろうね」とか「お互い声を掛け合っていこう」などの事前の約束も必要です。
試合後にはパートナーと「約束ごとは守れたか」「次はどうしていこう」などと話すことも大切です。

これはダブルスだけでなくシングルスの試合に出る人やジュニアの子どもたちにも実践してもらいたいことです。

「今日はイライラしてしまったから次の試合では自分を抑えるようにする」とコーチと約束するとか、
ジュニアの子どもたちでいえば「ラケットを大切にしよう」「試合に出場できることに感謝する」などの約束ごとを親御さんと決めるのもいいかもしれません。


これは1人で禁煙しようと思ってもなかなか達成できないけれど誰かと「禁煙しよう」と約束し合って挑戦すると頑張れるというのと同じです。
自分との約束は強い意志がないとできませんが誰かと約束することで抑制力や励みになるものなのです。

どんなことでも1人で頑張るのは大変なことです。

応援してくれる人や一緒に喜んでくれる人と約束すれば自分の力へと繋がっていくのです。

心と体はひとつなぎであると言われるように、スポーツの世界でこの2つは切っても切り離せない互いの影響があります。

人間は心の持ち方1つで能力を上げ、パフォーマンスを上げていくことができます。

試合で起こった出来事が結果というだけでなく、出来事に対する心の持ち方で今後のテニスゲームの向上が変わっていきます。
ゲームに勝つためのメンタルを鍛えたいと思っている方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

テニススクールジョイナス北野田は試合に出るすべての選手を応援、サポートしています。

試合に出ている人も、まだテニスを始めたばかりの人も一緒にテニスの不思議な力を借りて毎日を素敵に過ごしていきましょう。